ひき逃げの場合、治療費等の請求はできませんか?
【福井県越前市の方からのご質問】
1カ月前に、越前市の路上で交通事故に遭いました。交通事故の目撃者によると、住宅街の歩道と車道が分かれていない道でしたが、白線内の右側歩行をしていた私の後ろから衝突した後、そのまま逃げたそうです。私自身は交通事故の衝撃で気絶してしまい、越前市内の救急病院に搬送された後、3日間の検査入院ののち通院を重ね、先日治療が終わりました。
私をはねた犯人は見つかっておらず、治療費の20万円は自分が支払いをしました。また、3日間の入院中は勤めている越前市の会社を休んでおり、その分の給料が減らされてしまい、ダブルで損害をおっている状態です。犯人が見つかれば、もちろん治療費や減った給料分を請求するつもりでいますが、このまま見つからなければ泣き寝入りしかないのでしょうか?
【弁護士からのアドバイス】
加害者の分からない交通事故いわゆるひき逃げでは、「誰にも治療費の請求が出来ない」と、弁護士に相談されたり、金銭的な事から弁護士に相談すらされず泣き寝入りされるケースもあります。しかし、加害者が判明している交通事故では自賠責保険に請求するのですが、ひき逃げの場合は人身的な損害部分に限り政府保証事業に請求をすることができます。政府保障事業の補償内容は自賠責保険に準じているため、治療費・休業補償に関しては120万円まで支払われます。ただし、一般的な交通事故と比べて、必要書類が多く支払われるまでの期間が長いという欠点もあります。
万が一、ひき逃げの加害者が警察に逮捕された場合は、加害者に対して請求をすることになるのですが、政府保障事業から支払われた分は差し引いて請求することになります。一見「加害者の負担が小さくなるので、不条理だ」と思われるかもしれませんが、普通の交通事故の場合、自賠責保険から支払いがあるので、それと同じ扱いだとの考えです。仮に交通事故の人身的な損害が200万円で政府保障機関120万円を受け取っていれば、加害者には80万円のほか、自動車などの物損があればそれも併せて請求することができます。
その際に加害者が自動車保険に加入していれば保険会社の方に直接請求することも出来ます。保険内容によっては飲酒運転やひき逃げなどの悪質性の高い交通事故の場合、保険金が支払われないとの文言が契約書にあることがありますが、この場合には、被害者に対して保険会社が一旦支払った後、保険会社が加害者に被害者に支払った分を請求します。「ひき逃げだから」「ひき逃げの犯人が飲酒運転だったから、保険会社から支払ってもらえない」とあきらめる前に、弁護士に相談してみることをお勧めいたします。