交通事故で亡くなった夫…加害者への補償はどこまで請求できる?
【福岡県太宰府市の方からのご質問】
2カ月前に夫が交通事故に遭い、亡くなりました。
夫は太宰府市にある会社に勤めており、亡くなる2週間前に部長に昇進して家族でお祝いをしたところだったので、大学生の娘や高校生の息子もさらに悲しみが深くなっています。
加害者の保険会社からは交通事故の直後に連絡がありましたが、亡くなった後は連絡がまだありません。
加害者も同じ大宰府市に住んでいるのに、葬儀の時はおろか一度も謝罪に訪れた事も無く、不誠実すぎて示談交渉をする気にもなりません。
言い方は悪いかもしれませんが、加害者や加害者の保険会社に高額の示談をふっかけて、少しでも夫の無念や私たち家族の悲しみと怒りをわかってもらいたいと思っています。
ですが、「夫が亡くなったことに対する慰謝料」だけで請求して良いのかとふと思いました。
10年以上前に太宰府市内で自動車同士の接触事故を起こしたことがあるのですが、示談の時に金額の項目がたくさんあったのを思い出し、死亡事故ならばもっと細かくたくさんの項目があるのではと不安になってきました。
【弁護士からのアドバイス】
たまに、交通事故の裁判のニュースで「交通死亡事故で損害賠償金1億円の判決」というものを見かけますが、死亡事故により請求できる項目は、被害者自身の死亡慰謝料のほかに、被害者が生存していたら得ていたであろう給料から算出した逸失利益、遺族に対する慰謝料など、かなりの項目に及びます。
交通事故に遭い治療の末に亡くなった場合には治療費や入院慰謝料などの項目がさらに増えるため、支払い項目だけで20以上ということもあります。
交通事故になじみのない一般の方からするとかなりわかりづらい項目もあり、項目によっては独特の計算式から導き出されるものもありますので、一見してその金額が妥当なのか高いのか安いのかも見当がつかないということが多々あります。
死亡事故で支払われる損害賠償金の中で多く割合を占めるのが、逸失利益と死亡慰謝料ですが、年齢が若く年収が高いほど高額となるため、働き盛りと言われる年代の方の場合には損害賠償の総額が大きくなる傾向が高く、数千万円から時として億越えする時があります。
しかしながら、個人で保険会社などと交渉した場合には、億越えどころか5000万円も怪しいラインとなります。
なぜかというと、保険会社が支払うのは最低基準というべき自賠責保険の金額に、少しだけ上乗せしてきた金額となるからです。
それに対して、弁護士が保険会社に請求する金額は裁判の判例による、実情に合った金額を請求します。
保険会社も弁護士からの請求であれば、最悪裁判もあり、負ける可能性が高いため、弁護士が主張してきた金額の満額か、交渉してやや割り引いた金額で示談に応じることがほとんどです。
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