弁護士に依頼をして6か月で賠償額が2000万→4000万円に増額した事例
事例提供:吉田泰郎法律事務所
【事例】
この事件の被害者は70歳代の女性でした。近所の山を歩いていたところ、背後から迫ってきた、大きなSUVに追突され、はね飛ばされたのです。ほぼ即死でした。
残された遺族は、まだ理性的な状態であり、保険会社の担当者に対しては、
「事故が起こったことは残念でしたが、保険会社の方が、誠意をもって、ちゃんと正しい保険金を出してくれれば、怒らないでおこうと決めました」
と告げたのです。
保険会社の担当者は、2000万円という示談の提案をしてきたそうです。
残された遺族は、この2000万円という保険金額の提示が正しいものなのかどうかを相談するために、弁護士に相談にこられました。
弁護士は、保険金額を確認して、
「2000万円は少ないですね。死亡事故としては。70歳とはいえ、配偶者のいる方でもあるし、心身とも健康な方だったので、4000万円くらいは認めるべきではないでしょうか。」とアドバイスをしました。
そうしたところ、遺族は、
「なんと?私たちは、加害者の保険会社に対して、最大限に誠意をもって接しました。とくに、怒りもしませんでした。ちゃんと対応すれば許すと言ったのに、保険会社は、そういう私たちをだますつもりだったのですか?」
と、保険会社に対して、非常に、怒りました。
そうでしょう、それは、正義の怒りだと思います。
弁護士としても、こう言わざるをえませんでした。
「そうですね…保険会社の対応に、誠意があったのか、なかったのか、ということでいえば……なかった、と言わざるをえないでしょう」
遺族は、弁護士の判断を聞いて、憤慨しました。
「あの保険会社の担当者、おとなしそうな顔をして、なんというヤツ!私は許せません!」と、ヒートアップしました。
この気持ちは、大変にわかります。この遺族の方々は、もともとは理性的な方々です。相手に誠意があれば許そうという公平な気持ちの方々でした。
しかし、残念ながら、「だまさない保険会社」を求めるというのは、実際のところ、なかなか難しいところなのです。
遺族の方々は、
「弁護士さん、もう、私たちは怒ったから、一番厳しいことをしてやってくれ!」
と申しますので、弁護士は、相手の保険会社と交渉をすることなく、一方的に訴訟を起こしました。
訴訟を起こすこときには、少しくらいはふっかけても許されるだろう、ということで、5000万円の請求を起こしました。
そうしたところ、裁判所は、双方に対して、
「早期解決ということで、4000万円ということで考えられないか」
という和解案を出しました。
4000万円といえば、判決になっても同程度の金額になると思われましたので、被害者側の勝訴ともいえる和解案です。
遺族もスピード解決で十分な和解となり、喜んでいました。
最初に弁護士に相談にこられてから、6か月後に和解金が支払われて最終解決しました。
裁判は時間がかかる、というイメージがありますが、この事件のように、加害者の方の言い分が明らかに無茶な場合には、スピード解決することもあります。
【弁護士からのアドバイス】
記事提供者:吉田泰郎法律事務所
保険会社の担当者が誠意があるかどうかと言われると、残念ながら、誠意がない方が大半です。
保険会社では、損害賠償の金額を安くまとめれば、実績として出世できる、というのが、なげかわしい実態なのです。
ひょっとしたら、被害者の方と会ったときには、誠意のあるような雰囲気であったり、礼を尽くした態度であったりするのかもしれません。
しかしながら、それは、本当に被害者のことを考えてのことではなく、たんに示談をしてほしいから、誠意のある態度をしているだけのことが、よくあります。
けっして、「保険会社の担当者がいい人だったから」というような、表面上のことだけで、示談をしないようにしてほしいと思います。
大きなケガであれば、必ず、弁護士に相談して、示談案をみてもらってから、示談をするようにしてください。
当弁護団では、示談の査定を無料でおこなっています。