有力な証拠を取得、主張が認められ相手方の過失割合100%の事故として解決した事例
事例提供:弁護士法人リーガルプラス
【事例】
本件は、会社員の女性が信号機のある交差点を青信号で車で直進していたところ、折から、右方道路から赤信号で交差点に進行してきた相手方の車に出会い頭に衝突されて、外傷性頸部症候群、打撲傷の被害を被った事案です。
通常、事故状況に争いがある事故では、相手方の保険会社が依頼した調査会社等による事故調査が行われますが、本件では、被害者の方が自らの青信号での進行を強く確信し、また、相手方の不誠実な態度が許し難く、事故調査には協力しませんでした。
相手方は、事故当時から3か月以上経った時点でも、赤信号で交差点に進入してきた事実を認めず、謝罪もありませんでした。また、相手方の保険会社は、本件事故状況に争いがあり、双方の過失割合が定まっていないことを理由に、車や治療費の補償等を全く行っていませんでした。被害者の方は、外傷性頸部症候群による首の違和感、頭痛等の身体の不調に悩まれるとともに、誠意のない相手方の対応についても大きな精神的苦痛を感じていました。なお、治療については、被害者の方が加入している保険会社の人身傷害特約が利用できたところから、負担なく治療を続けることができていました。
当職らがこの時点で依頼を受けたところ、相手方の保険会社は、双方青信号進入を主張しているので、どちらが青信号で進行していたのかが分からない事例であるとして、双方の過失割合を50%として解決することを提案してきました。
そこで、相手方に赤信号で交差点に進入してきたという100%の過失があることを証明するために、検察庁に、警察や検察が捜査をした記録等について問い合わせを行いました。結果、本件事故状況が明らかになる信号サイクル図や裁判書類の閲覧・謄写をして、相手方が赤信号で交差点に進入してきた事実を証明できたことから、相手方が100%の過失があることを認めました。
その後、被害者の方の外傷性頸部症候群が症状固定に至り、後遺障害等級第14級に認定されたことから、人身傷害特約による保険金と調整の上、相手方の保険会社と損害賠償について交渉を行いました。
損害賠償請求においては、被害者の方の会社員としての収入と家事労働者としての収入を比較し、家事労働者としての収入が大きかったことから、女性平均年収(約355万円)を基礎収入として、逸失利益の算定を行いました。
結果、裁判基準と同等の労働能力喪失率5%、労働能力喪失期間5年を前提とした逸失利益(約77万円)、傷害慰謝料(約140万円)、後遺障害慰謝料(110万円)等が認められ、示談となりました。
【弁護士からのアドバイス】
記事提供者:弁護士法人リーガルプラス
相手方の保険会社は、事故状況不明で双方青信号主張のため、双方に同程度の非がある事故として過失割合を50%とする提案をしてきました。ここで、事故当事者の主張しか資料がない場合、相手方保険会社の提案のように事故状況不明の事故として過失割合50%として解決するほかないことがあり得ます。
本件では、警察や検察の捜査した記録を確認し、有力な証拠を取得できたことにより、被害者の方の主張が認められ、相手方の過失割合100%の事故として解決することができました。
事故状況不明な事故の場合、本件のように、相手方の保険会社は事故状況が明らかになるまでの間、治療費の補償等を留保することがあり、その間、被害者の方は自費で治療をしなければならず、十分な治療ができないことがあります。
外傷性頸部症候群の場合、後遺障害等級14級に認定されるか非該当となるかは、継続的かつ定期的に整形外科に通院をしてきたかという治療経過が重視される傾向にあります。
本件では、被害者の方が、事故当初から事故状況が明らかとなるまでの間、被害者の方が加入している保険会社の人身傷害特約を利用して治療費の自己負担なく、安心して治療が継続できたことにより、後遺障害等級14級に認定された点も、本件の損害賠償額を大きく分けた点と考えられます。